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※本インタビューは、「歌の手帖」2019年8月号収録の文章を当時のまま掲載しております
初の麻こよみ&都志見隆コンビ
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香西かおりのバラード歌謡タイプといえるヒット曲『すき』(’97年)や『人形(おもちゃ)』(’97年)は、今もカラオケで根強く人気があるが、新曲『口紅模様』もまさにその系譜にありそうな歌謡曲。
まず、作曲は香西作品初となるヒットメーカー・都志見隆氏(中森明菜や中西保志、郷ひろみなどの歌謡曲のヒット作を数多く手掛け、近年では竹島宏などにも楽曲を提供)。
「船村徹先生はじめ、巨匠の作家の方々が天国へ旅立たれていく状況の中、ディレクターと〝これから自分の音楽をどういう方々に託していくのが良いんだろう〞という話をしながら、新曲はどなたにお願いするか?を考えていたんです。
そんな時、〝うたコン〞でNHKへ行くと偶然、廊下で都志見先生とお逢いしたんですけど、すぐに私は〝あっ、いた!〞と思って(笑)。
それでディレクターに〝いたよ〞と言ったら〝えっ、なにが?〞と言うから、〝新曲、都志見先生、どうかなぁ?〞〝ああっ!いいんじゃないっすか〞となって、ディレクターから作曲をお願いしていただきました。
以前から、都志見先生は綺麗なメロディーを書く方だなぁ、と思っていたんです」
その都度志見メロディーを唄う香西の泣き加減が、絶妙な感覚で切ない。
また作詞も初となる麻こよみ氏。
「歌詞、このリアリティが好きです。男性作家では書けない、女性作家ならではの表現なんですよ。
しかも私をイメージしてくれたんじゃないか…と思うほど、自分に近い歌詞で。
例えば、捨てずじまいの古い口紅とか…私も新色が出ても、いつも似たような色の口紅ばかり買うんですよね。
だから家には、捨てずじまいの口紅がわんさかあります(笑)」
好奇心は欲どしい
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話は変わるが、最近は歌舞伎を何回か観に行った…と彼女。
「昔から歌舞伎は好きですけど、歌舞伎も若手がどんどん出てきたので、ここ最近、また観に行くようになったんです。
歌舞伎に行くと、御衣裳とか所作に自然と目が行きます。
傘を差した時は、こういう角度でこう差すと綺麗に見えるのか、と勉強になったり。
いや、仕事に活かしたい…という気持ちではなくて、あくまでも自然な好奇心で、それが楽しくて。
私の好奇心は〝欲どしい〞のかもしれません(笑)」
思えば香西かおりは、色々なタイプの作品で、コンスタントにヒットを放っている。
前述したバラード歌謡や、『流恋草』『無言坂』という大ヒット曲、そして『居酒屋「敦賀」』『最北航路』『酒のやど』『酒の河』等々。
彼女自身が「欲どしい」と語るような、そのしなやかで品のある好奇心が、常に人に愛される歌を放つ要因になっているのかもしれない。
「新曲は良い歌ですし、もちろん気合いを入れて、ヒットさせたいですよ。
どうしたらヒットするのか?って全然わからないですけど、たくさんの方々の前で唄って、いっぱい手売りする覚悟で、ヒット曲へとねじこみたいな(笑)。
ただね、歌い手としてのプライドというか、売れた売れないより…そりゃ売れた方がもちろん良いんですけど(笑)、香西かおりは良い歌を唄ってるね…というところに、最終的には落ち着きたいんです。
良い歌を、ほら良いでしょ?と素直に提示して、そういう作品を私らしく唄い続けていける自分でありたいです」
新曲『口紅模様』のカラオケアドバイスを。
「メロディーの流れをなだらかに、大きく唄うこと、ですかね。
あとは“この歌が好き”と思って唄ってもらえれば…それが一番大切だと思います」
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撮影/尾木 司
※本インタビューは、「歌の手帖」2019年8月号収録の文章を当時のまま掲載しております