【歌の手帖2018年11月号】坂本冬美「I LOVE和歌山」ピンナップ・グラビア

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※本インタビューは、「歌の手帖」2018年11月号収録の文章を当時のまま掲載しております

撮影/笹井タカマサ

番組で吉幾三プロデュース

ご覧になった方も多いと思うが、昨年12月24日に放送されたNHKの人気歌謡番組「新•BS日本のうた」で、吉幾三が坂本冬美をプロデュースする企画があり、そこで吉が作って、坂本が唄った作品『熊野古道』。
その歌にたくさんの反響があったことから、『熊野路へ』とタイトルを変更し、4曲入りコンセプト・シングル『ふるさとの空へ』(9月26日発売)のトップ曲として収録された。
ところでこのコンセプト・シングルとはなんだろう?

「実は今年の4月に私の出身地である和歌山県上富田町(かみとんだちょう)の町制施行60周年を記念して、イメージソング『ただいま故郷(ふるさと)』『鳳凰の町』を作詞・ 喜多條忠先生、作曲・叶弦大先生、そして南沙織さんや山口百恵さんなどを手掛けた酒井政利さん(和歌山出身 のプロデュースで作っていただいたんです。
でもシングル発売も配信もしていなくて…こんな大御所の方々に作っていただいたのに、それもすごい失礼な話ですが(苦笑)。
で、吉幾三さんが作ってくださった『熊野路へ』を発売する話の流れになりましたから、〝だったら、全部まとめて出しましょう!〞となったんです。
しかも2015年に開催された紀の国わかやま国体のイメージソングで作っていただいた『明日へと』も入れて4曲入りで。 こういうのポップスでは、マキシシングルと言うんですって。
今回は4曲とも私の故郷・和歌山県がテーマですから、コンセプト・シングル…という新たな呼び方を作っていただき(笑)、アルバムみたいに『ふるさとの空へ』というタイトルをつけました。
でも、これはあくまでタイトルで、このタイトルの歌は入ってないんです…ややこしいんですが(笑)」

故郷という原点

坂本冬美「『ただいま故郷(ふるさと)』『鳳凰の町』『熊野路へ』『明日へと』は私の故郷・和歌山県がテーマ」

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『熊野路へ』は吉が考えたと言う印象的なイントロのリフから、厳かな熊野古道を静かに歩くように坂本が語りだし、徐々に魂を絞り上げるように、悠久な響きのサビへと向かっていく…新たな坂本冬美の魅力を感じられる作品だろう。
「実際に吉さん本人が熊野古道へ行って作ってくださったんです。
亡くなられた最愛の人と一緒に行った熊野を旅している…という切ない内容。
子供の頃から親しみのある 熊野を舞台にしていますし、私も自然と気持ちが入ります」

そして、故郷・和歌山県への 愛は、年々深まっている、と坂本。

坂本冬美 故郷・和歌山県への 愛は、年々深まっている

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「特に最近は、母親の顔を見に月に一度は帰りますし、同級生も子育てが一段落して時間がとれるようになり地元で会えるようになりましたから、改めて故郷の良さを感じてます。
素晴らしい自然に囲まれた和歌山県は海の幸、山の幸も豊富。
白良浜はハワイに行かなくても良いくらいの綺麗なビーチですし、アドベンチャーワールドのパンダは並ばなくても見られますし(笑)。
また、サンマやマグロやクエが知られていますけど、意外にカツオも美味しいの。
全国の方々にあまり知られていないことが多くて残念。
だから『熊野路へ』で、和歌山県の魅力もアピールしたいです」

故郷という坂本冬美の原点に立ち返ったコンセプト・シングル『ふるさとの空へ』。
もちろん4曲ともカラオケ付。それぞれタイプの異なる作品なので、カラオケでもかなり楽しめそうだ。

故郷という坂本冬美の原点に立ち返ったコンセプト・シングル『ふるさとの空へ』

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11月2日から25日まで、大阪新歌舞伎座で坂本冬美特別公演を開催。なお第1部の演目「恋桜-いま花明かり-」に泉ピン子が友情出演する。

「泉ピン子さんは、お父さまが浪曲をされている時期があって、子供の頃から二葉百合子先生と親しくされていたそうなんです。それで二葉先生を通じてピン子さんと知り合い、可愛がっていただいていています。
そして今回のお芝居で演出を手掛けてくださる石井ふく子先生(「渡る世間は鬼ばかり」などを手掛けたテレビプロデデューサー)は、ピン子さんがお声をかけてくださりました。
元々「恋桜-いま花明かり-」は、ご病気になる前に美空ひばりさんが、テレビドラマに出たいわ・・・と石井先生にお話をされていて、それで石井先生がドラマとして作られたお話なんだそうです。
今回はピン子さんに出ていただくので、笑いを取り入れて書き直していただいました」

※本インタビューは、「歌の手帖」2018年11月号収録の文章を当時のまま掲載しております

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